宇都宮内科クリニック

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宇都宮内科クリニックは、愛媛県西予市にある、内科・消化器内科のクリニックです。

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健康にかかわる「お通じ」の話22018.11.01 院長ブログ

こんにちは、院長の宇都宮大貴です。本日は近年増加する過敏性腸症候群についてのお話です。

過敏性腸症候群とは、検査を行っても炎症や潰瘍といった器質的疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などの下腹部の不快な症状が起こり持続するものをいいます。(例えば、ストレスのかかる状況下での腹痛、下痢、学校に行くと腹痛や下痢になるなど)。命にかかわる病気ではありませんが、突然起こる腹痛や下痢、腹部の不快感などにより、生活の質(QOL:Quality of life)を低下させます。

<治療法>症状のタイプ(病型)に合わせて薬物治療を行っていきますが、薬物療法だけでは改善できないことも多く、食事療法や運動療法、ストレス回避(生活習慣の乱れや、精神的なストレスなどで症状が悪くなることが多いため)を併用します。

①一般的な食事療法
炭水化物や、脂肪分の多い食物をとることが症状を悪化させるきっかけとなることがあるため、控えるようにします。また、香辛料やアルコール、コーヒーが症状悪化に関係していることもあり、その場合には控えるよう心がけます。
下痢に対しては、適量の食物繊維をとるようにしながら、下痢を引き起こすような冷たい飲み物や牛乳の過剰な摂取は避けるようにします。便秘に対しては、食物繊維を積極的にとり、便の量や硬さを整えるように心がけます。

 

FODMAPとは?
FODMAPという言葉は以下の頭文字となっています。
• Fermentable → 発酵性
• Oligosaccharides → オリゴ糖
• Disaccharides → 二糖類
• Monosaccharaides → 単糖類
• And
• Polyols → ポリオール(糖アルコール)
これらFODMAPは小腸で吸収されづらく、大腸で発酵します。
このFODMAPが多い食事、高FODMAP食によって腸管が膨張し、腹痛・下痢・便秘などを引き起こすという考え方です。
その様な下痢や便秘の原因となる高FODMAP食を取り除いた低FODMAP食のみを摂取するといった食事療法というわけです。具体的な食品については割愛しますが、多くの食品が該当して、摂取可でも1日の上限が決まっているものもあります。
まず、導入期において決められた食材の中だけで4週~6週の厳正な食事制限を続けるのが大切です。FODMAPが体に影響を与える期間が4週~6週と言われています。そのため4週~6週ほど厳正に食事制限を続け、結果IBSの症状が軽くなる事で、FODMAPが過敏性腸炎の症状を招いていたと特定出来るわけです。このFODMAP導入期間に、結果が出ないからと少しだけなら大丈夫と高FODMAP食を食べてしまったら全て無駄です。
本当に過敏性腸炎の症状に悩んでいて、どうしても過敏性腸炎を治したい、結果が出た後もこれからずっと低FODMAP食を続けられるという忍耐力がある方でないと難しいです。
ただ、厳正な低FODMAP食導入期を経て、FODMAPがIBSの原因と特定出来た後も、ずっとこの食事を続けていくというのはかなり難しいと思います。
そこで導入期が終わった後は、チャレンジ期となります。高FODMAP食となっている食品の中でも自分の体には影響を及ぼさない食品を探すチャレンジ期となります。少しづつ解禁できる食品を広げていく時期がチャレンジ期となります。チャレンジ期の試行錯誤により、食べても良い食品が増えていく可能性があります。
低FODMAP食を実行しても3割の方は改善が得られないことがありますが、もし厳正な低FODMAP食を実行しても効果が無かったとしても決して無駄ではなく、高FODMAP食が過敏性腸炎の原因ではなかったと特定出来るだけで大きな成果かもしれません。

<低FODMAP食を行うときの注意点>
まだ、低FODMAP食の情報は統一されておらず、サイト・書籍により低FODMAP食として食べられる食品・食べれない食品がバラバラです。そこで厳密な低FODMAP食を進めていくに当たって、日本低フォドマップ食推進第一人者の宇野氏による『過敏性腸症候群の低フォドマップ食 FODMAP』で低FODMAP食をしっかり確認して実行していくべきです。

<より詳しくFODMAP食について知りたい方へ>
日本低フォドマップ食推進会会長の宇野良治氏による『宇野コラム』、モナッシュ大学から高FODMAP食と低FODMAP食が分かるFODMAPアプリ、『続・ショコラのネネのキッチンダイアリー 』という低FODMAP食を使ったお菓子・スイーツの作り方などが紹介されたサイトなどを参考にして下さい

プロバイオティクス、プレバイオティクスとしての乳製品、オリゴ糖
生きた乳酸菌を腸まで届ける働きのあるものを『プロバイオティクス』と言います。
プロバイオティクス商品により乳酸菌を生きたまま腸まで届けることで腸内フローラ(腸内環境)を整え過敏性腸症候群の症状を改善させるというものです。しかし、乳酸菌を摂取しても腸に届くまでに菌が全て死んでしまうものもあるんです。ただそのような腸に届く前に死滅した菌でも乳酸菌を増やすための餌になると言われているのが『プレバイオティクス』です。つまり、
プロバイオティクスは腸内フローラを整える
プレバイオティクスはそのプロバイオティクスの餌になる
ヨーグルトなどの乳製品を購入するなら『プロバイオティクス』と書かれている商品を選びましょう。オリゴ糖はプレバイオティクスです。

           

④乳製品やオリゴ糖は低FODMAP食と相性が悪い
プロバイオティクスのヨーグルトにオリゴ糖が含まれている物や、後からオリゴ糖を混ぜて食べれば乳酸菌の餌となり相乗効果が得られます。しかしヨーグルトやオリゴ糖は高FODMAP食なので過敏性腸症候群の症状を悪化させる可能性があります。
乳酸菌を接種して腸内フローラを整えて便秘や下痢の症状を改善しようと取り組んでいるかたはとても多いです。しかし、ヨーグルトなどの乳製品は高FODMAP食なので、低FODMAP食を導入していて過敏性腸症候群の改善に取り組んでいるなら乳製品は避けなくてはいけません。
それに、乳製品より乳酸菌サプリの方が下記のようなメリットがあります。
①乳酸菌が生きたまま腸まで届きやすい
②コストが安い
③大量の乳酸菌を一度で摂取できる
効果・コスパの面で乳酸菌を接種するなら乳酸菌サプリです。
但し、乳酸菌サプリでも食物繊維(イヌリン)、オリゴ糖が含まれているものは高FODMAP食なので要注意です。

以上、専門的な話になりましたが、ご質問のある方、お悩みの方はぜひ宇都宮内科クリニックまで御相談ください。

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