こんにちは。院長の宇都宮 大貴です。昨日の新聞記事にもありましたが、2019年春より3年間、「1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性を対象に2022年3月末まで法的な定期接種に位置付け、ワクチン費用を原則無料とする」新対策を厚生労働省がこの度発表しました。
なぜ、この年代なのか?ですが、実は、1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性は子供の頃に予防接種の機会がなかったために特に風疹の感染リスクが高いとされる年代なのです。
国立感染症研究所が先日発表した今年の風疹患者数は2454人で、前回の大流行が始まった2012年を上回ったため、国は追加策をとることを決定したようです。国内で風疹の免疫がある人は92%とされますが、この世代の男性は80%程度で、国としては今回の新対策で2020年の東京五輪までに85%以上に引き上げ、21年度末には90%以上にすることを目指す構えです。WHO(世界保健機関)によると流行を阻止できる状態になるには85%が目安となり、現状を考えると今後も接種対象世代の拡大など必要となってくると思われます。また、新対策ではワクチンの不足を防ぐため、接種対象者にはまず抗体検査を求め、費用も原則無料となるようです。
正式な開始日が分かり次第、またご案内いたします。
<新対策の対象年齢外の方で風疹予防接種を御希望の方>
基本的には、抗体検査やワクチン接種は自費となります。詳しくは宇都宮内科クリニック(📞0894-62-7788)までお気軽にご連絡ください。
<風疹について>
風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症で、流行は春先から初夏にかけて多くみられます。潜伏期間は2-3週間(平均16-18日)で、主な症状として発疹、発熱、リンパ節の腫れが認められます。ウイルスに感染しても明らかな症状がでることがないまま免疫ができてしまう(不顕性感染)人が15-30%程度いるようです。一度かかると、大部分の人は生涯風疹にかかることはありません。従来、集団生活にはいる1-9歳ころ(1-4歳児と小学校の低学年)に多く発生をみていましたが、近年は多くが成人男性となっています。風疹ウイルスは患者さんの飛まつ(唾液のしぶき)などによってほかの人にうつります。発疹のでる1週間まえから発疹がでたあと1週間くらいまでの患者さんは感染力があると考えられています。
<怖いのは合併症>
風疹は通常あまり重くない病気ですが、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの軽視できない合併症をおこすことがあります。また、予防接種をうけず自然感染したときには、妊娠中のお母さんなどにうつしてしまうことがあり、大きくなってからであれば妊娠中の配偶者(妻)あるいはパートナー、職場の同僚などにうつすことで、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断される可能性が生じます。風疹の合併症から身を守り、家族や周りの人への感染を予防し、将来自分達のこどもを先天性風疹症候群から守るためにも、男性も可能な限り早めに風疹の予防接種をうけた方がいいと思われます。